アイアンハート | リプライオリティ社長BLOG

アイアンハート

最近タクシーや新聞広告で目にするようになった元グッドウィル・グループ会長折口氏。

 

何の広告かというと、自身の著書の広告でした。かなりの広告費を使っていると思われました(推測ですが)

 

アイアンハート | 折口 雅博, 昭文社 出版 編集部 |本 | 通販 | Amazon

 

これがその著書。グッドウィルは1995年創業。破竹の勢いで事業を拡大したのですが、晩年(2008年頃)は二重派遣やら備品の押し売りやら労災隠しやら違法行為が次々と露見してついには廃業に追い込まれた会社です。グループ会社のコムスン(介護事業)も責任者の虚偽申請などで廃業に追い込まれました。当時をリアルに知る我々からしてみれば「早晩こうなっただろうね」といった感じでした。

 

そして10年強の月日を経て再び日本の表舞台に姿を現した同氏ですが、破産宣告されて姿を消していた間、アメリカで高級和食レストランを展開し、栄誉ある賞(ミシュランでいう星みたいなやつ)を獲得していたのです。ホントこの本のタイトル通り、鋼のメンタルを持つ人ですね。

 

ところでこの本ですが、タイトルを見る限り、彼の自伝&過去の色んなトラブルのエクスキューズが述べられた本かと思っていたのですが、自伝に関する部分は半分で、残り半分はアメリカで息子と一緒に大学受験をした記録や現在の自身のコンサル先に関する記述でした。アメリカの大学受験に関する事は本当に参考になりました。日本の試験一発型よりも社会を担う人材教育という観点でいうとアメリカの試験のやり方の方が合理性があるなと感じました。

 

この本の中で一番印象に残ったのは銀行借り入れの件で、グッドウィル社はM&A資金として銀行から900億円借り入れをしていたのですが、コベナンツ(特約条項)としてDept Equity Swap(債務の株式化)を盛り込まれていたのです。特約条項の発動条件は分かりませんが、グッドウィル社が違法行為問題で先行き不透明になった時に、銀行が債権回収困難と判断して、債権を株式に転換して外資系のファンドに売却して、ファンドは事業を切り売り解体し、ゲームオーバーとなったのでした。

 

事業にドライブをかける為の資金調達ですが、無理に借り入れをすると何かあった時に一気にコントロール効かなくなるのだという教訓でした。手元資金で事業を展開するのが確かに一番手堅いのですが、それだけだとビジネスのタイミングを逃す事にもなるし、物事に100%の答えなどは無くて結局はその時の勝負勘ということでしょうか。難しいですね叫び